役に立つオモシロ医学論文

ネガティブな感情を抑制 「花」の写真を見つめてストレス解消

白菊

 自然の風景を眺めることで心癒やされる経験がある方も多いと思います。あるいは、一輪の花を眺めるだけで心が休まることもあるでしょう。昨今、新型コロナウイルス感染の拡大を受け、自然豊かな場所に旅行することも難しい夏休みとなってしまいました。感染の心配や不安、3密を避ける生活に、ストレスを抱えている人も少なくないように思います。

 そんな中、花の写真を見ることが、ストレスの解消につながるかどうかを検討した研究論文が、環境心理学に関する専門誌の2020年8月号に掲載されました。

 この研究では、大学生34人を対象にアンケートを行い、花と聞いて思い浮かべる典型的な形を調査しています。その結果、白菊が最も典型的な花として選ばれました。さらに、健常者31人(平均22歳)を対象に、白菊の画像、白黒のモザイク画像、真っ黒な画像を見てもらう実験を、健常者35人(平均24・4歳)を対象に白菊の画像、雲のある青空の画像、部屋に置かれた椅子の画像を見てもらう実験をそれぞれ行い、血圧変化や点数評価されたネガティブな感情などが比較されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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