新型コロナ後遺症の正体

新型コロナから回復した人の3割以上に呼吸器の後遺症

中国・武漢の病院で新型コロナウイルスによる肺炎の患者の対応にあたる医療従事者(新華社=共同)

■肺障害が進行したときには手遅れとなることも

 中国武漢市の金銀潭病院で、2019年12月から2020年1月26日の間に新型コロナウイルスによる重症肺炎のためICU(集中治療室)に入室した患者52例(平均年齢は59.7±13.3歳、67%が男性)では、40%に慢性疾患、51%に発熱。61.5%が入院から28日以内に死亡、死亡例では生存例よりARDS(急性呼吸窮迫症候群)発症率(81% 対 45%)と人工呼吸器管理実施率が高かった(94% 対 35%)。ニューヨークでも同様の結果であり、患者急増下で医療崩壊が生じるとこのようになる。

 高齢者、喫煙者や気管支喘息などの肺疾患を有する人、心血管病、糖尿病などの持病がある人、ステロイドなどの服薬で免疫能が落ちている人は高リスクである。肺胞細胞と間質および細い気管支にわたる広範な炎症で肺機能のかなりの部分が破壊された後は当然、重症の後遺症が残る。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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