新型コロナ後遺症の正体

新型コロナから回復した人の3割以上に呼吸器の後遺症

中国・武漢の病院で新型コロナウイルスによる肺炎の患者の対応にあたる医療従事者(新華社=共同)

 ウイルス感染による直接的肺の障害と過剰免疫反応であるサイトカインストームにより間質性肺炎が生じるが、後者の関与が大きい。肺の間質や微細な血管に炎症が起こり血栓もできる。間質は硬くなり浮腫みも生じ、肺胞細胞が膨らめなくなる。さらに肺胞細胞も壊れてゆき、肺全体が低酸素状態となる。初めは二酸化炭素がたまらないので、呼吸困難感が少ないので、肺障害が進行したときには手遅れとなることも多い。「エクモ」を使用した患者では肺が石のように固くなることもあると言われている。

■完全に治らない人も多い

 一方回復は、肺胞細胞や毛細微小血管が再生ができるかどうかにより決まるが、これにはウイルスの量や炎症の程度が影響する。血管の再生は数日以内に始まり、肺細胞はかなり遅くに始まる。肺組織の再生にかかる時間は、実験データーから推測すると、一カ月以上とみておいた方が良いと思う。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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