上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

新型コロナの世界的な大流行は米中の経済戦争が影響している

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 これは、かつて人間が歩んできた歴史の繰り返しといえます。以前に経験した武力戦争による人口動態の入れ替わりは、年月を経て自国主義の経済戦争によって増幅された二極化をもたらしました。その結果として、経済弱者や健康不安者が対象となり、未知の新興感染症に人口動態の入れ替わりを強いられたと言えるでしょう。ただし、この先には戦後に人々が必ず成し遂げてきた「復興」という2文字は見えてこないのです。

 今回の新型コロナウイルスの世界的な大流行は、世界の情勢や経済が再編されるきっかけになるのは間違いありません。目の前の感染対策はもちろん重要ですが、アフターコロナの時代をどう生き抜いていくのかを大きな視点で考える必要があると考えています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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