上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

新型コロナの影響で日本の医療体制の再整備が進むだろう

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症(COVID―19)が再び広がっています。予防ワクチンや急性期治療薬が完成し、季節性インフルエンザと同じような感染症という扱いになるまでは、まだ時間がかかりそうです。

 感染拡大と緊急事態宣言が発令された4月から、順天堂医院を含めた多くの大学病院は外来患者の受け入れや手術数を絞っていました。また、新型コロナ患者の受け入れ態勢を整備する負担も重なって大幅減収となり、全国133の大学病院では、4、5月の2カ月間で約313億円の赤字が計上されました。

 現在、多くの大学病院は徐々に通常の体制に戻す方向に進んでいますが、コロナ前と同程度の状況にはならないでしょう。感染者数が再び増加していることもあり、クリニックや市中病院の患者さんは大きく減ったままです。感染を避けたい患者さんは医療機関への通院を控え、医療機関側も診察する患者数を絞っているからです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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