専門医が教える パンツの中の秘密

【尿路感染症】男性は性感染症の尿道炎、女性は膀胱炎が多い

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 これも、男女の体の構造上の違いによるものです。男性の尿道は「生殖器」の役割(精液の通り道)も兼ねています。そのため性感染症による尿道炎が多いのです。

 ただし、クラミジアや淋菌だけでなく、大腸菌や腸球菌などの腸内細菌、皮膚や粘膜の常在菌、マイコプラズマなどの細菌も尿道炎(非クラミジア性非淋菌性尿道炎)の原因になります。

 一方、女性はペニスを受け入れる「腟」と「尿道」が別々ですので、クラミジアや淋菌が尿路に感染しにくいのです。ただし、生理や尿失禁のナプキンについた細菌から尿道炎を引き起こすことはあります。女性の子宮に侵入したクラミジアや淋菌も上行性感染しますので、放置すると子宮頚管炎や卵管炎を引き起こします。

 女性が膀胱炎になりやすいのは、男性と比べて尿道が短く、尿道口が肛門や腟口に近いので大腸菌などの細菌が侵入しやすいからです。急性膀胱炎は、女性の5人に1人が経験しているといわれています。女性は男性よりも膀胱炎になりやすいわけですから、腎盂腎炎の発症も男性よりも多いとされています。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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