Dr.中川 がんサバイバーの知恵

高橋幸宏さんが脳腫瘍を摘出…良性の髄膜腫なら全摘可能

脳腫瘍を摘出した高橋幸宏(C)日刊ゲンダイ

 一方、脳は部位によって機能が異なるため、腫瘍ができる場所により、症状や術後の後遺症が異なります。それが局所症状です。

 たとえば、思考や自発性、感情などをつかさどる前頭葉に腫瘍ができると、言葉を理解できてもうまく話せなくなったり、自発性が低下したり、認知機能・集中力が下がったり。腫瘍とは反対側の片麻痺が生じることもあります。

 逆に後頭葉は、目から入ってきた色や形、動きなどの情報を整理して視覚イメージを形作る機能があるため、腫瘍とは反対側の視野が欠ける同名半盲が起こるのです。

 原発性脳腫瘍は、増殖速度が速い悪性と増殖速度が遅い良性があり、悪性は大脳や中脳、小脳、脳幹などの脳実質に生じやすい。これに対して良性は、脳実質以外の組織、脳を覆う髄膜や脳神経などに生じやすいのが特徴です。

 悪性と良性とでは、増殖スピードだけでなく、広がり方にも違いがあります。正常組織との境界が不明瞭で周辺にしみ込むように広がるのが悪性で、正常組織との境界が明瞭なのが良性です。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事