専門医が教える パンツの中の秘密

尿道炎を起こすプラズマ感染症 近年になって原因菌を特定

写真はイメージ

 この4種類の原因菌は、日本では2012年から検査が可能となり、「核酸増幅法(PCR検査)」によって一度に診断できます。検体は男性では「尿」を用いて、女性では「腟分泌物」を綿棒でぬぐい取り採取(スワブ法)します。また、クラミジアや淋菌と同様にのどにも感染しますので、咽頭ぬぐい液を用いて調べます。

 男性では排尿時の軽い痛みや違和感、尿道からのサラサラした分泌物など約70%の人に何らかの症状がみられます。また、尿道炎だけでなく、急性精巣上体炎、慢性前立腺炎、男性不妊の原因になることもあります。

 女性ではほとんど症状がないことが多く、あっても「オリモノがいつもと違う」や、腟のかゆみ、下腹部の違和感くらい。しかし、放置していると骨盤腹膜炎、不妊症、流早産の原因になることがあります。

 治療は、4種類のうち検出される菌によって有効な薬(抗生物質)が異なります。複数の菌が感染していることもありますので、その場合には複数の薬を使ったり、治療期間が長引いたりすることがあります。

 また、菌の種類によって薬剤耐性がかなり進んでいる可能性があるのが、他の性感染症と異なります。

 しかし、原因菌に合わせて適切な薬が処方されれば80~90%は治療効果が見込まれます。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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