独白 愉快な“病人”たち

「日本うんこ学会会長」石井洋介さん 潰瘍性大腸炎を語る

消化器外科医・日本うんこ学会会長の石井洋介さん(C)日刊ゲンダイ

 大腸を全部取って、一時は人工肛門になりました。でも、その9カ月後には人工肛門を閉じて肛門から排便できる手術を受けました。今では比較的ポピュラーになった手術ですが、当時はまだそれができる医師は少なかったので、まるで子供がウルトラマンに憧れるように「この先生のようになりたい」と思いました。それで、外科医を目指したんです。

 病気の始まりは中学3年の冬ごろでした。受験勉強も佳境を迎えていたときに血便が出たのです。でも「痔かな」とさほど驚くことはなく、体のしんどさが何もなかったので受験のストレスのせいにしていました。

 高校に合格した後、6月あたりから熱が出始めました。38度の発熱があまりに長く続いたので、近所の病院から大学病院を紹介され検査を受けることになりました。疑われたのは「マイコプラズマ肺炎」でした。

 ただ、検査入院したものの発熱の原因がなかなかわかりません。1カ月ほどしたある朝、医師の巡回でふとお腹を触診されたときに痛みを訴えると、「ひょっとしたら血便ない?」と聞かれました。「はい、あります」と答えると、ようやく「潰瘍性大腸炎」の疑いに切り替わりました。ボクは血便や下痢と発熱は無関係だと思っていたので、それまで便の話は一切していませんでした。医師からも便のことは聞かれなかったですし……(笑い)。

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