医療現場では新型コロナ患者に有効な治療が確立されつつある

東京都医師会が医師向けの訓練を実施(C)共同通信社

 ウイルスが減っていれば、肺炎の程度を見ながら炎症を抑えるステロイド薬を使用するかどうかを決めるという。

「ステロイド薬を使うと免疫が落ちるので、ウイルスが多く残っている状態では使用しません。また、新型コロナ患者は気道や肺胞の粘膜が荒れるため、細菌に感染して細菌性の肺炎を合併するリスクが高くなります。仮に細菌性肺炎が強く表れている場合は、さらに抗生剤を使います。いずれにしても、基本的には抗ウイルス薬を投与してウイルスを退治するのはレアケースです」

 薬で炎症を抑えながら免疫をコントロールして軽快した後は、後遺症を防ぐためにすべての患者に対して抗血栓療法を行う。

「新型コロナの患者さんは、あちこちで血管炎が起こり血栓ができてしまいます。それが倦怠感、めまい、耳鳴り、息切れといった後遺症につながっていると考えられています。そのため、血液をサラサラにする抗凝固剤『ワーファリン』を使って血栓の形成を防ぎます」

 江戸川病院では、軽症~重症に近い状態を含む中等症の患者にこうした手順で薬物治療を行い、人工呼吸器はほぼ使わずに救命率は98%に達している。新型コロナ患者を受け入れている施設同士で症例を共有しながら、より効果的な治療法が確立されてきているのだ。

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