Dr.中川 がんサバイバーの知恵

日米調査で判明 心筋梗塞とがんの患者数減少の意味の違い

検査はためらわないで(C)日刊ゲンダイ

 その結果、浮かび上がるのは次の予測です。コロナの影響で診断されずにいる心筋梗塞や狭心症の患者が増えているといえるでしょう。その予測は、ほかの病気にも当てはまります。

 がんも“減少”していて、コロナが拡大する1~2月と比べると、4月の新規がん患者数は大腸がんと乳がんで半減。肺がんや胃がんなども減っています。

 その傾向は日本でも顕著です。国立がん研究センター中央病院のデータでは、今年上半期に行われた胃がんの手術は90件。昨年の同時期は153件でしたから41%減です。東大病院も、胃がんの手術は昨年上期に比べて43%も減っています。

 今年は、全体的にがん検診の受診者が減少。例年の3割減で、特にその影響が大きいのが胃カメラです。検査を行う医師と受ける患者の距離が近いため、病院側も患者側も敬遠しています。その結果、手術で治療可能な早期胃がんを発見できないことも、手術件数減少の要因のひとつといえるでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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