浅香さんは膵臓がんと診断された時、余命3カ月と告知されたといいます。国立がん研究センターの調査でも分かるように、がんは末期になると、痛みが出やすく、さらに強くなりやすい。
ご遺族のコメントから、つらい痛みに苦しむことがなかったのは何よりです。
がんの強い痛みには、モルヒネに代表される医療用麻薬が欠かせませんが、日本はその使用量がダントツに少ない。ドイツの20分の1で、米国の14分の1です。痛みに耐える国民性がデータに表れています。
膵臓がんは、体の奥にあって見つけにくい。進行してから診断されるケースが多いゆえんで、だからこそ浅香さんのような痛みを取ることが大切です。
実は痛みを取る緩和ケアと抗がん剤治療を行うグループと、緩和ケアなしで抗がん剤治療を行うグループに分けて追跡すると、緩和ケアをする方が生存期間が長いことが明らかになっています。緩和ケアで生活の質が良くなると、延命効果があるのです。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵