Dr.中川 がんサバイバーの知恵

黒沢年雄は3年ぶりに…膀胱がんの再発予防に“M字開脚検査”

黒沢年雄さん(C)日刊ゲンダイ

 そのための検査は膀胱内視鏡検査で、ちょっとつらいかもしれません。黒沢さんは、「憂鬱で屈辱(的)な検査はない」と記しています。

 ベッドにあおむけに寝て両膝を開いた体位を取ります。いわゆるM字開脚です。看護師の前で、下半身丸裸ですから、抵抗はあるでしょう。

 そのポーズで陰茎の先端を消毒し、局所麻酔の入ったゼリーを尿道の入り口から注入。その処置を終えると、膀胱鏡を挿入し、膀胱の中を診るのです。意外と痛みは少なく、膀胱鏡の進入時に少し痛む程度です。

 私も18年12月に膀胱がんを見つけてから1年間は3カ月ごとに膀胱鏡検査を受けました。2年目からは半年に1回で、術後10年目まで続けるつもりです。その後は1年に1回のペースで、恐らく一生続けるでしょう。

 膀胱がんの治療を終えてからは、とにかく再発リスクを潰すことが大切です。それゆえ検査の回数が多く、米国では「医療費が最もかかるがん」といわれます。逆にいうと、死亡に直結しないケースが多い証しともいえるでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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