そうした医師の中には、「増設された医学部のどこかに引っ掛かって医者になれさえすればいい」という意識で受験に臨んだ人も少なくありませんでした。ですから、「努力して医者になって患者さんのために貢献し、社会に恩返しをしたい」といった高い志を持ち続けている人は、そうそう見当たりません。そんな彼らが今、若い医学生を指導する立場になっているのです。これでは、地方医療の疲弊をはじめとする今の医療界の問題は、この先も改善されないでしょう。
ただ、1県1医大政策が進められていた時代に医師になった人たちの中にも、「医者になって患者さんを救って世の中の役に立ちたい」といった志を持っている医師はゼロではありません。私自身もそうであると思っています。
数が少ないからこそ、日本の医療界の問題を解決するためには、そうした志を持った医師たちが行動しなければならないのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」