なおかつ、03年以降は医学部受験がさらに過熱して、「医師のつくられ方」が大きく様変わりしました。受験に強い中高一貫校が注目され、12歳で将来が決まってしまうような状況が生まれました。医学部に進む学生はそれほど貧しい家の人たちではなくなり、以前なら国公立大を選択していた学生も私立の医科大学に進学するようになりました。大幅な経済格差がなくなって、医師を目指す学生の意識も変わってきたのです。
そんな時代だからこそ、1県1医大政策の精神を見直すべきだと考えています。医師になって自分が地方医療の疲弊を食い止める――。1県1医大政策がスタートした時期に医師になったわれわれの世代は、自分の経験をもとにしながら、そんな志を持った医師を育てていかなければなりません。
次回は、私が考える案についてお話しします。
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上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」