Dr.中川 がんサバイバーの知恵

元宝塚女優が急逝…甲状腺未分化がんを「最凶」と恐れる理由

68歳で亡くなった峰さを理さん(中央)/(C)ゲッティ/共同通信イメージズ

 日本では「甲状腺未分化癌研究コンソーシアム」をつくり、分析していますが、生存例はわずか。診断から1年以上の生存は、レアケースなのが現実。がん専門医の私も、「最強・最凶のがん」としてすい臓がん以上に恐れています。

 つらいがんだけに、痛みのケアはもちろん、精神的なケアのため早期から緩和ケアを受けることが不可欠。米甲状腺学会のガイドラインでも推奨されています。

 首の腫れや痛み、声のかすれ、食事ののみ込みにくさなどを感じたら、ためらうことなく内分泌内科を受診し、触診やエコー検査を受けることが大切。さらにしこりの一部を採取して生検も重要です。受診はためらわずに。それが、今回の教訓といえるでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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