Dr.中川 がんサバイバーの知恵

子供のがんで相談すべき病院3つ 高校生は7割が休学・退学

7割が休学・退学を選んでしまう(写真はイメージ)

 家族が悩みを相談できる支援は不十分で、支援が十分あるという人は39・7%と4割を下回っていました。多くの家族が悩みを解消できず、学業を中断せざるを得なくなるほか、仕事を辞めてしまう実態が浮き彫りとなったのです。

 たとえば、たばこをたくさん吸う人が年を取って肺がんになるのは、自己責任の影響が否定できません。大腸がんは欧米型の脂肪分の多い食事や運動不足の影響があり、メタボ的な生活習慣の人はリスクが高い。

 ところが、AYA世代のがんは、そういう影響がほとんどない上、がんの要因の一つである細胞の老化ともいえません。中高年のがんと違い、自己責任的な要素はとても少ないので、もっとサポートが受けられてしかるべきです。

 重要なのが、医療費の問題でしょう。乳幼児医療費助成制度や子ども医療費助成制度により、自治体が医療費の一部または全額を負担する制度があります。それに加えて小児がんの場合は、小児慢性特定疾病医療費助成制度が有効です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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