激増する「心不全」 原因の発見が根本的治療へつながるか

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「ヒトやマウスの心不全で、心筋細胞のカーレンが減少することが判明。またマウスの実験で、カーレンが心筋細胞のミトコンドリア数を増加させ、エネルギー産生を増やし、DNA損傷の修復機構活性化を抑制し、心機能低下を抑制することも分かったのです」

 つまりカーレンを心筋細胞へ補充すれば、心不全発症の2つの原因を改善し、発症や増悪を食い止められる。心不全マウスの実験では、カーレン補充によって生存期間が100日ほど延びた。これは人間の10年に相当するという。

 今後は心不全の患者への臨床応用に向けた、さらなる研究が行われる予定だ。カーレンが薬として臨床現場で使われるようになれば、かなりたくさんの心不全患者が救われることは間違いない。

◆心不全 ステージA~Dの4つに大別され、ステージAは心不全のリスク因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症などがある段階。心臓病を起こすとステージBとなり、治療が不十分なために急性心不全を発症するとステージC。急性心不全の再発、再入院を繰り返すと坂を下るように悪化し、ステージDに至る。治療法がほぼなくなり、最終的には命を落とす。

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