Dr.中川 がんサバイバーの知恵

立川談笑は全摘も…超低&低リスク甲状腺がんは手術しない

立川談笑さん(C)共同通信社

 談笑さんは甲状腺の全摘とリンパ節を切除し、放射性ヨウ素内服療法を受けられたのでしょう。この全摘手術の合併症として、発声に関わる反回神経や上喉頭神経が損傷されやすく、嗄声(声のかすれ)が問題となることがあるのです。

 上喉頭神経が損傷されると、女性の声が男性のように低くなり、女性には大問題。反回神経は手術で温存してもまひが起こることがあります。多くは一時的で3カ月から半年ほどで回復することが多い。それでも永続的な嗄声も含めると、その頻度は1~13・3%ですから要注意といえます。

 発声は、一般の方にも生活する上でとても大切なものです。このようなリスクを負わないためには、早期発見が不可欠。甲状腺がある首の痛みや腫れ、声のかすれ、食事ののみ込みにくさなどがあれば、耳鼻咽喉科や内分泌内科をすぐに受診することが大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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