談笑さんは甲状腺の全摘とリンパ節を切除し、放射性ヨウ素内服療法を受けられたのでしょう。この全摘手術の合併症として、発声に関わる反回神経や上喉頭神経が損傷されやすく、嗄声(声のかすれ)が問題となることがあるのです。
上喉頭神経が損傷されると、女性の声が男性のように低くなり、女性には大問題。反回神経は手術で温存してもまひが起こることがあります。多くは一時的で3カ月から半年ほどで回復することが多い。それでも永続的な嗄声も含めると、その頻度は1~13・3%ですから要注意といえます。
発声は、一般の方にも生活する上でとても大切なものです。このようなリスクを負わないためには、早期発見が不可欠。甲状腺がある首の痛みや腫れ、声のかすれ、食事ののみ込みにくさなどがあれば、耳鼻咽喉科や内分泌内科をすぐに受診することが大切です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵