Dr.中川 がんサバイバーの知恵

血液1滴でOKのがん検査 陽性ではセカンドオピニオンが不可欠

採血のみで90%超の高精度(C)日刊ゲンダイ

 この技術のベースにあるのが、遺伝子の働きにかかわるマイクロRNAです。マイクロRNAはがん細胞から分泌され、増殖や転移などにかかわっています。それぞれの臓器にできるがんによって、マイクロRNAの特徴が異なるため、特定のマイクロRNAの組み合わせの違いから、がん患者とそうでない人を高い確率で見分けられるのです。

 国立がん研究センターのグループは、同センターに保管されていた5万3000人の血液を使って分析。その結果、日本人に多い13種類のがんについてマイクロRNAの変動パターンが分かっています。

 具体的には胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、神経膠腫、肉腫です。

 マイクロRNAを用いたがんの早期発見は、今年度中にも一部の人間ドックや健康診断に組み込まれる見込み。料金は、1回2万円前後とみられます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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