女性の不妊治療で何が行われているのか

いまや16人に1人は体外受精で生まれている どんな治療なのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 すべての卵子が十分に育つのを待って、採卵を行います。採卵は婦人科の診察で使用されている経腟超音波を用いて行い、お腹の上からではなく膣の内から卵巣に直接針を刺して卵子を回収します。採卵には麻酔を用いる施設が多く、局所麻酔かあるいは静脈麻酔によって眠っている間に採卵することも可能です。痛いのが苦手という方は静脈麻酔ができるか担当医に相談してみてください。

 採卵当日にはご主人も病院に来ていただくか、あるいは自宅で精子を採取する必要があります。

■受精には2つの方法がある

 次に、得られた卵子と精子を受精させます。受精の方法には卵子に一定量の精子をふりかける「媒精」と、精液所見が悪い場合に運動性の良い精子を選んで卵子に注入する「顕微授精」の二通りの方法があります。顕微授精では卵子1個に対して1匹でも精子がいれば受精が可能ですので、非常に精子が少ないあるいは運動率が低い方でも受精が可能となります。

2 / 3 ページ

小川誠司

小川誠司

1978年、兵庫県生まれ。2006年名古屋市立大学医学部を卒業。卒後研修終了後に慶應義塾大学産科婦人科学教室へ入局。2010年慶應義塾大学大学院へ進学。2014年慶應義塾大学産婦人科助教。2019年那須赤十字病院副部長。2020年仙台ARTクリニックに入職。2021年より現職。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。

関連記事