ところがその矢先、階段を下りようとして右足を前に出したら、つま先に力が入らずパタンとかかとが落ちたんです。「え?」と思って確認すると、つま先の感覚がなく、右足の指をまったく動かせなくなっていました。
改めて主人が入院していた病院で診ていただいたら、「つま先の神経が麻痺しているので、このまま人工股関節の置換手術をしても元通り歩けるようにはなりません。足の指に力が入るようトレーニングが必要です」と言うのです。手術をしても治らないと聞いて悩みました。悩みながら自力で少しでも治そうと、痛みをこらえて毎日のようにプールに通いました。
でもある日、四谷の交差点のど真ん中で派手に転倒しまして、手を突いた衝撃で右手は手根管症候群になり、手指もしびれて使いづらくなりました。股関節痛からつま先の麻痺で、次は手根管……。このままだと次から次が止まらないと考え、やっと手術に踏み切りました。
独白 愉快な“病人”たち