新型コロナに感染した透析患者に有効な治療がわかってきた

透析患者へのレムデシビル投与における臨床経過(伊勢川拓也氏提供)

 そんな状況の中、伊勢川医師のもとに糖尿病による腎機能障害で1年半前から血液透析を受けている新型コロナ患者が運ばれてきた。呼吸不全が進行していて肺にも炎症があり、人工呼吸器が必要な状態、いわゆる重症患者だったが、本人の希望で気管内挿管は行わないことになっていた。

 連日、透析除水を行って肺にたまった水を抜いても酸素飽和度は改善せず、入院3日後の抗原定量検査でも体内のウイルス量は高いままだった。

「このままでは亡くなる可能性が極めて高かったことから、体内のウイルス量を減らすことがわかっているレムデシビルの投与を検討したのです。海外では2つの良好な経過をとった症例が報告されていました。そこで、当院の院内倫理委員会に申請を行って承認を得たうえで、レムデシビルを製造している製薬会社にも問い合わせ、助言をもらいながら投与が決まりました」

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