独白 愉快な“病人”たち

小林幸子さん網膜剥離を振り返る 医師に「失明しますよ」と言われ頭が真っ白に…

小林幸子(提供写真)

 先生もしぶしぶでしたがOKしてくれました。「本当はよくないんですけど、この目薬を本番直前にさしてください」と痛み止めを持たせてくださいました。30~40分しか効果がないので、収録の後半は痛みが出ちゃいましたけどね。

 それから3カ月、オイルを入れたまま眼帯生活でした。片目での生活はとても疲れました。仕事もたくさんありましたので、本番は眼帯を外して慎重にお化粧をして……。

■まだ色の見え方が左右で違う

 そして迎えたクリスマスの日、オイルを抜く手術を受け、それから1年半以上たちました。じつはまだ右目は元通りではありません。手術は成功して網膜剥離は治っているんですけど、色の見え方が左右で違います。

 初めてそれに気づいたのは、オイルを抜いて3カ月後ぐらいでした。もう視力がだいぶ回復したように思ったので、近所までクルマを運転して出かけたのです。信号待ちでふと「右目だけで見てみよう」と左目をつぶって信号を見上げたら、赤でも黄でも青でもなく、真っ黒でした。もうビックリしました。普通に見えると思ったのは、左目がカバーして見ていたので自然に見えていたんです。

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