独白 愉快な“病人”たち

整体が回復のきっかけに…作家の今野敏さんパニック障害を語る

今野敏さん(C)日刊ゲンダイ

 とはいえ、完治はしません。今でも完全に前向きな気持ちではなく、劇場や映画館ではなるべく端っこに座り、飛行機や新幹線の座席はいつも通路側を選んでいます。コロナ禍が始まった頃には、パニック障害の息苦しさが戻ってくるような感覚があり、少し不安になりました。ただそれも2~3カ月で治まり、今は本当に調子が良いです。

 10年ほど前からは高血圧の薬を飲むようになり、5年前には「食道がんの疑いがある」と言われ、大学病院に行きました。結果、何もなかったのですけれど、それをきっかけにお酒とたばこを同時にやめました。以来、定期的に胃カメラ検査を受けています。まあ、年齢を重ねるといろいろありますよ(笑い)。

(聞き手=松永詠美子)

▽今野敏(こんの・びん) 1955年、北海道生まれ。大学在学中にデビュー作「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て、81年から執筆に専念。2006年に「隠蔽捜査」で吉川英治文学新人賞、08年には「果断 隠蔽捜査2」で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞した。ドラマ「警視庁強行犯係・樋口顕」など人気シリーズ多数。最新刊「ボーダーライト」が発売中。

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