Dr.中川 がんサバイバーの知恵

「神田川」を作詞した喜多條忠さんが永眠 肺がん早期発見には最新血液検査がいい?

2014年本紙取材時の喜多條忠氏(C)日刊ゲンダイ

「貴方はもう忘れたかしら」の歌い出しで知られる「神田川」は、昭和の青春の象徴といわれています。その作詞をされた喜多條忠さんが、肺がんのため旅立ったと報じられました。享年74。10月中旬に入院先から自宅に戻ると、11月中旬に意識が混濁。22日に自宅で眠るように息を引き取ったそうです。

 肺がんは、日本のがん死亡原因のトップ。厚労省の人口動態統計によると、2019年は7万5394人の命が奪われています。2000年に比べて、2万人超の増加です。平成が始まった当初、5割を超えていた男性の喫煙率はほぼ半減。たばこを吸うのは、4人に1人です。

 肺がんは、喫煙がリスクの一つで、吸わない人に比べて男性は5倍、女性は4倍も増加します。禁煙効果はどうかというと、禁煙後1年で肺機能が改善し、2~4年で心筋梗塞や脳梗塞のリスクが3割ほど減少。肺がんリスクが、非喫煙者並みに戻るのは20年とされますから、早い禁煙が大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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