Dr.中川 がんサバイバーの知恵

「神田川」を作詞した喜多條忠さんが永眠 肺がん早期発見には最新血液検査がいい?

2014年本紙取材時の喜多條忠氏(C)日刊ゲンダイ

 喫煙者が少なくなっている今、喫煙との関係が薄いタイプの肺がんがあることをご存じですか。肺の奥にある肺胞の周りにできるタイプで、肺腺がんといいます。たばこの影響が強いのは気管支など肺の中心にできやすいのが特徴で、扁平上皮がんです。

 発生場所の違いは、症状の違いに表れます。扁平上皮がんは咳(せき)や痰(たん)といった、いわゆる肺がんらしい症状がありますが、腺がんの初期はほとんど無症状。腺がんで血痰が出たら、進行しているケースが多い。中には、脳や骨に転移し、頭痛や腰痛、背部痛などが悪化して調べて見つかることもあります。

 喜多條さんは昨年、脳に腫瘍が見つかり、その治療過程で肺がんが見つかったとのこと。どちらのタイプか不明ですが、脳転移がキッカケのようです。治療の成果で今年3月にはゴルフができるまで回復されたといわれますが、残念な結果となってしまいました。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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