腰痛のクスリと正しくつきあう

アセトアミノフェン 安全性は高いが使い過ぎると肝障害のリスク

写真はイメージ

 そのため、「小児用の熱冷まし」というイメージを持っていて、腰痛の強い痛みに対する効果を疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。しかし米国や欧州では、以前からNSAIDs(ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンなど)よりもアセトアミノフェンの方が効果、安全性、価格の面でバランスが良いとして医療現場においても繁用されています。

 日本でも、21世紀に入ってからアセトアミノフェンを再評価する動きがあり、多く用いられるようになっています。関節リウマチなど炎症を伴う激しい痛みには不向きですが、慢性腰痛に対しては有効性と安全性が高いことが考慮され、腰痛診療ガイドラインではNSAIDsとともに第1選択とされています。また、慢性疼痛(とうつう)治療ガイドラインでも同じく使用が推奨されています。

 ただし、安全性が高いといっても、注意しなければならない点もあります。NSAIDsで見られるような胃腸障害や腎障害の副作用は比較的少ないとされていますが、問題となるのは肝障害です。

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池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

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