名医が答える病気と体の悩み

外科手術が必要になる「出っ歯」の状態と治療法は?

歯科医の菊池香織氏(提供写真)

「出っ歯」とは、前歯が前に出ている状態で、歯科では「上顎前突」と呼んでいます。上顎前突には「歯性」と「骨格性」の2種類があります。「歯性」は歯が生えた位置や生えてきた角度など単純に歯の問題なので、マウスピースなどの通常の歯列矯正のみで対応できます。

 一方、「骨格性」は上顎の骨が大きかったり、または下顎の骨が小さすぎて後ろに引っ込んでいたり、上顎と下顎の骨がゆがんでいたり上顎と下顎の骨の位置関係がずれているために、骨ごと前歯上顎が前方に出ている、もしくは下顎が引っ込み過ぎているために上顎が出ているように見える状態です。

 外科手術が必要になるのは骨格性の場合で、歯の移動だけでは改善できない場合は顎変形症という病名が付き、たとえば顔が変形する顎変形症を起こしているケースなどでは矯正治療と外科処置の両方が必要です。

 また、上顎と下顎がずれて、歯並びに影響し、噛み合わせが悪い不正咬合がある場合も、歯列矯正では治療が難しく、根本的に顎の外科処置が必要になります。

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