腰痛のクスリと正しくつきあう

腰痛治療に血管拡張剤や疼痛治療薬が使われるケースもある

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 腰部脊柱管狭窄症に対しては、これまでお話しした非ステロイド性抗炎症薬や筋弛緩薬、ビタミン剤なども用いられていますが、これらの薬剤が有効であるといった高いエビデンスは得られていません。

 また最近は、座骨神経痛や帯状疱疹後神経痛などに起因する神経障害性疼痛に対して、Ca2+チャネルα2δリガンドと呼ばれる疼痛治療薬の「プレガバリン(リリカなど)」が多く処方されています。腰痛診療ガイドラインでも、座骨神経痛に対する推奨薬になっています。

 痛みの伝達に関わる物質の産生を抑える作用があると考えられている薬で、炎症を抑える作用はなく、神経系に分布するカルシウムイオンチャネルに結合して鎮痛作用を発揮するといわれています。

 主な副作用として、眠気、めまい、意識消失などがあるので、とりわけ高齢者では転倒に注意しなければなりません。自動車事故につながったケースも報告されているので、危険を伴う機械の操作や作業は厳禁です。また、頭痛や便秘、体重増加、目のかすみ(霧視)が起こる場合もあります。

 服用を開始する際は徐々に増量していき、中止する場合も1週間以上かけて少しずつ減らす必要があります。また、腎機能が低下している方は慎重に投与することとされているので、受診時に医師に伝えてください。

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池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

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