最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

患者さんやご家族の不安を取り除くために我々がしていること

写真はイメージ

 今後は個々の身体状況、居住環境、家族状況、介護の限界など、医療と福祉の両面の専門的見地に基づいて、患者本人や家族の意向を踏まえつつ、退院後の療養生活について総合的にコーディネートする専門機関も必要になってくることでしょう。

 さらに入院時の診療・看護情報が、在宅医療のケアチームにもしっかりとバトンタッチされることが望ましく、円滑に退院前カンファレンスが開催できる社会全体でつくり上げる体制づくりが今後は本格的に必要になってくるものと考えています。

 入院して安心を得ようとする患者さんと、過度な在宅介護をイメージして忌避するご家族。そして入院患者を受け入れる病院という3者の思いが、今日のいわば社会的入院を必要以上に増加させる原因となっています。そんな状況を変える意味でも、患者さんとご家族の不安を取り除く作業は今後もますます重要になっていくことでしょう。

3 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事