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暗黒時代への第一歩? 米最高裁が人工妊娠中絶は違憲と判断

中絶修正案の署名活動を行う女性の胸についたワッペン(C)ロイター

 中絶ができない、すなわち、それは自分の体なのに思うようにできないことを意味します。欲しくない子供を産まなければならない。州によってはレイプ犯の子供であっても。

 お金がなくて育てられないという事情があろうと、たった1度の避妊の失敗で夢見ていた人生が台無しになろうと、それによって女性がどんなトラウマを受けようと関係ない。これは相手の男性にとっても同じです。ようやく心臓の鼓動が探知されたばかりの、妊娠1カ月半の胎児の人権が優先です。

 どう考えるかは個人の自由です。しかし中絶を違法にし女性を縛るのは人権の剥奪だと、抗議するアメリカ人は連日叫んでいます。

 ところで、「違法」ということは罰則もあります。州によっては、中絶を行った医師やそれを助けたスタッフ、患者を運んだドライバーに対し、訴えればお金がもらえる仕組みがあります。いつ誰に訴えられるかわからない。恐れが支配する社会になりかねないと懸念されています。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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