世界で急増中の「サル痘」はどんな病気? 日本で初めて感染者確認、WHOは緊急事態宣言

サル痘ウイルス(C)CDC提供・共同

■咳やくしゃみで簡単には感染しない

 サル痘の症状は、感染初期は発熱、全身倦怠感、頭痛などで、徐々に体表面に水疱性の病変や発疹が現れる。

 西條氏が言う。

「サル痘は、コロナのように咳やくしゃみなどで簡単に感染するものではありません。症状がない段階で感染することもない。症状がある感染者と比較的濃厚な接触をしない限り感染しないのです。ただ、サル痘は大きく分けてコンゴ盆地系統群と西アフリカ系統群があり、後者は相対的に軽症のため、症状に気づかないうちに人に感染させている可能性があります。もしかしたら、今回の感染拡大は、それが関係しているのかもしれません」

 致死率は0~11%と報告されているが、多くは2~4週間で回復する。

「サル痘は、天然痘ワクチンが非常に効きます。私たちの研究では、ワクチン接種後2~3日で軽症化が期待できるとの結果が出ています。濃厚接触者も含めて、ワクチンを打つことで発症を予防でき、発症したとしても軽症化が期待できる。つまり重要なのは、医療従事者がサル痘のような症状がある患者を診た時、行動歴などからサル痘を疑い、しかるべき機関にサル痘の検査を依頼し、陽性であればワクチンを打つ体制を行政が整えること。現段階では、天然痘ワクチンはサル痘のためのものではありませんが、早くに、サル痘感染者が天然痘ワクチンにたどり着く体制を整えることです」

 個人レベルにおいては、まったく心配する必要はないと西條氏。

「感染拡大地域に出張や旅行で出かける人もいるでしょう。しかし前述の通り、容易に感染するものではない。正しい情報を得て、冷静に行動してほしい」

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