五十肩を徹底解剖する

肩の痛みはあるが動きには関係ない…内臓の病気が原因かも

写真はイメージ

 今度は胸のレントゲン撮影を指示されました。肩の痛みで相談に来たのに、目のまぶたを指摘され、なぜ胸の検査なのか戸惑いつつ、先生の指示に従いました。結果は、左肺の上方部分に影があるとのこと。「肺尖部腫瘍」が疑われたため、急きょ総合病院を紹介してもらうことになりました。

 肺尖部とは肺の一番上の部分を指し、鎖骨周辺の高さに位置します。肺尖部腫瘍では同側肩部の痛みを訴えることがあります。肩のレントゲン撮影の範囲外に腫瘍があると長い間気づかれない恐れがあります。

 肺尖部腫瘍では、脳から目につながる神経が障害され、同側の縮瞳、眼球陥凹、眼瞼下垂といった目の症状や発汗など特徴的な症状(ホルネル症候群)を呈します。

 肩周辺の痛みはあるが、肩の動きには関係ない。胸腹部の圧痛や呼吸運動で症状が増悪する。こんな場合は、内臓の病気が隠れている可能性があります。具体的には、腫瘍のほか、心筋梗塞、帯状疱疹などです。

2 / 2 ページ

安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

関連記事