感染症別 正しいクスリの使い方

【寄生虫による食中毒】「謎の食中毒」の原因はヒラメの刺し身だった

刺し身で食されることが多いヒラメ(C)PIXTA

 クドアによる食中毒はヒラメの刺し身に関連するものが多く、食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢が起こり、軽症で終わる症状が特徴です。発生は8月から増加して9~10月に多く、冬季には減少するという報告があります。

 最近は韓国産のヒラメによる食中毒報告が相次いでいることから、厚生労働省は19年に韓国産ヒラメの輸入検査強化を発表しています。

 一方、国産の養殖ヒラメはクドアが寄生していない稚魚の導入や出荷前の検査などが行われているため、国産養殖ヒラメによるクドア食中毒は極めて少なくなっているそうです。

 ヒラメをマイナス20度で4時間以上の冷凍、または75度で5分以上の加熱により、食中毒を防ぐことが可能です。しかし、ヒラメは生食が好まれることから現在、冷凍以外の食中毒予防法について研究が進められているといいます。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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