さらに注意すべきなのが「痛みのない心臓発作」です。発作のサインとして激しい痛みが出ないため、処置が遅れて突然死を招くケースがあるのです。
■気づいたときには重症や突然死という場合も
こうした痛みのない心臓発作は「無症候性心筋虚血」と呼ばれ、糖尿病の人に多く見られます。糖尿病の3大合併症のひとつに神経障害があります。血糖値が高い状態が続くと、細かい血管の血流が悪くなったり、体内に余っているブドウ糖の代謝産物が蓄積するなどして神経細胞が傷害され、痛みやしびれを感じづらくなります。そのため、心臓発作を起こしても気付きにくくなるのです。
実際、糖尿病の人が冠動脈疾患で病院に救急搬送された場合、突然死か、その一歩手前の急性心不全を起こしているケースがよく見られます。運よく突然死を免れたとしても、緊急治療をしなければそのまま亡くなってしまいます。それくらい悪化するまではっきりとした自覚症状がないのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」