また一般的な狭心症では、心臓が肥大していたり、心筋の量が多く、なおかつ基礎疾患として高血圧があるといったように、あからさまに体が悲鳴を上げるような状況が心臓になければ、発作による激しい痛みはあまり生じません。痛みを感じにくくなっている糖尿病の人はなおさらで、心臓の状態は通常で冠動脈だけが詰まっているくらいでは、痛みは出ないケースがほとんどといえます。
だからこそ、糖尿病をはじめとして生活習慣病などの慢性疾患を抱えている人は、心臓発作の小さなサインも見逃さないよう意識すべきです。ちょっとした痛みや圧迫感などの症状が出て、すぐに症状が改善した場合でも、体の中では必ず重大な何かが起こっています。早い段階できちんと検査を受けて、何が起こっているかを判明させ、適切な処置をすることが命を守ります。
糖尿病以外の疾患でも、心臓発作の痛みが隠されてしまって治療の遅れにつながるリスクが生じるケースがあります。次回、詳しくお話しします。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」