ちなみに、米国心臓協会(AHA)によると、米国では1年間に80万5000件の心臓発作が起こっていて、そのうち17万件は無症候性心筋虚血と推計され、糖尿病患者に多く見られると報告されています。やはり、糖尿病の人は痛みがない心臓発作を起こすリスクが高いといえます。
心臓疾患に限らず、急に“新しい病気”を発症した場合は、激しい症状が表れるものです。たとえば、心臓弁膜症の治療をしていて、急に胸が圧迫されたり痛みが出るなどの症状が起こったら、今度は新たに冠動脈疾患が生じたと考えて対応する必要があります。
一方、糖尿病や高血圧などの慢性疾患のようにじわじわと進行する病気では、その病気の深刻さと症状の表れ方があまり相関しないケースが多いといえます。慢性疾患によって心臓のトラブルが徐々に進行している場合も同様で、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患が生じても、自覚できるような急激な発作が起こらないのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」