上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

逆流性食道炎がある人は胸の痛みの原因をしっかり鑑別する

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 しかも、足の血管に動脈硬化がある人は、全身の動脈硬化も進んでいる可能性が高く、なんらかの心臓疾患にかかるリスクが高いといえます。ですから、なおさら痛みを感じない心臓発作に注意が必要なのです。

 実際、足の血管が詰まっていることで日頃から足に痛みがある人が、なんとなく胸部に痛みのような違和感を感じて検査を受けたところ、狭心症が発覚したというケースもあります。足以外でも、慢性的な痛みが表れる疾患を抱えている人は、心臓発作の小さな“サイン”を見逃さないように意識しましょう。

■心臓疾患を疑って検査を受けてみると…

「逆流性食道炎」も、心臓発作による痛みなのかどうかをしっかり鑑別しなければならない疾患です。胃液や食べたものが胃から食道に逆流して起こる疾患で、内視鏡検査で食道に炎症が認められる場合、それに該当します。逆流性食道炎では、胸やけ、胸の痛み、胸のつかえ感などの症状が繰り返し出るので、心臓発作ではないかどうかをしっかり見極めることが重要なのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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