高齢化が進んで筋肉が緩んでいる人が増えたこともありますが、食生活の欧米化によって、高脂肪食、過食、刺激の強い料理、アルコールを摂取する機会が増え、胃酸が活発に分泌される環境が当たり前になったのも理由とされています。肥満によって胃に圧力がかかり胃酸が逆流するケースの増加も指摘されています。
胃酸の酸性度は非常に高く、食道の粘膜は耐えられませんから、逆流があると炎症を起こします。さらに、胃の粘膜が食道側に延びる「バレット食道」と呼ばれる状態になると、食道がんにかかりやすくなってしまいます。バレット食道の人はそうでない人と比べて125倍も食道がんリスクが高いという報告があるほどです。日本でも、通常は70代以降に多い病気とされるのに、50代後半からの若年性の食道がんが増えています。
逆流性食道炎だった場合、胃酸分泌抑制薬のPPI(プロトンポンプ阻害薬)を中心に用いる薬物治療と、脂肪分の多い食事や暴飲暴食を改める生活習慣の改善を行うことで治りやすい病気になってきています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」