今や死因の10%強 急増する「老衰」を年間200人を看取る名医から学ぶ

写真はイメージ(C)Chinnapong/iStock

 次に現れるのは、血圧の低下、脈拍の上昇、酸素飽和度の低下などの変化で、それが体の症状にも反映されていく。

「少し前まで高血圧の薬を飲んでいた方が、その薬をやめたにもかかわらず、血圧が100を切ってくるような場合、少しずつ心臓の機能が衰えてきたサインです。心臓はその衰えを補うために少しでも頑張って動こうとして心拍数は上昇することが多く、その反応の結果少し動くだけで息切れが起こったりします。酸素飽和度が低くなるのも、心臓の働きが弱ることで体に取り入れる酸素量が減ってくるのです」

 動くと息切れがするので、より動かなくなると、ますますADL(日常生活動作)が落ちていくという悪循環になる。この段階で、無理に水分を取りすぎたり、必要のない過剰な点滴をしてしまうと、足がむくんだり、肺や心臓に水がたまるなど体に負担がかかり、余計に苦しくなる。

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