今や死因の10%強 急増する「老衰」を年間200人を看取る名医から学ぶ

写真はイメージ(C)Chinnapong/iStock

「しかし、今は無理して死期を延ばすのではなく、自然死を受け入れる風潮が医療者の間でも認められるようになりつつあります」

 しかし、見送る側の理解が進んでいるとは言い難い。それが災いして苦しい死になりかねない。そうならないためには、見送る側が急増する「老衰死」について理解し、どのような経過をたどるのかを学ぶことだ。

「老衰の最初の兆候は、採血データなどが悪くないのに、全身状態の低下が見受けられることです。もちろん、採血の結果によって医療方針を決定する場合も少なくありません。感染症の状態確認や生活習慣病の管理、がんマーカーを取ることで初期のがんの発見やその進行について確認することもできます。ただ、血液検査や画像検査などが必ずしもその人の余命や今の苦痛感を反映しているわけではありません。本人だけが主観的に感じる痛みや倦怠感、精神的な不安感などはどこを切り取っても数字に表れないことが多いです」

2 / 5 ページ

関連記事