末期がん患者がたどる経過について周囲が知っておくべきこと

「基準量の点滴」は患者さんを苦しめることも…

■「痛み」があれば無理に闘わない

 ステロイドは、体の炎症を抑えることになり、肝機能を安定させ、黄疸が減少し、倦怠感が取れることも多いという。

「がん終末期には、食欲が低下します。抗がん剤が原因の場合もありますが、抗がん剤をやめた後の食欲低下は、本当の終末期と言えるでしょう。ステロイドで炎症を抑えることで一時的な食欲回復と意識状態の良化にはつながりますが、長くは続きません。その段階で無理に食事や水分を摂取させると『誤嚥性肺炎』を発症することも少なくありません」

 家族の「食べさせたい」気持ちはわかるが、患者の苦しみを増加させる結果になりかねない。

「口からの摂取だけでなく、点滴や胃ろうから水分や栄養も過剰摂取させてしまうと、痰が増えたり、足のむくみ、腹水の増加などにより、『苦しい終末期』になってしまうことが多いのです」

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