老親・家族 在宅での看取り方

がんの治療は病院で、貧血の治療は在宅で…使い分けも可能

写真はイメージ(C)PIXTA

 在宅医療を利用する患者さんはさまざまな事情を持っています。病状や年齢によってもいろいろなケースがあり、すべての治療を在宅医療が担当する場合もあれば、ある部分は病院、ある部分は在宅、と分担する場合もあります。

 最近、私たちの診療所で在宅医療を開始することになった90歳の男性。胃がんで、リンパ節転移があり、ここにきて肝臓への転移の恐れが出てきたとのこと。これまでは通院でがんから来る痛みを薬でコントロールしていたのですが、今後を考えるとADL(日常生活動作)の低下が予想されたため、在宅医療に切り替えることにしたのです。

 長男には主治医の先生から、余命が数年だろうと告知されていました。しかし、患者さん本人は90歳とは思えないほど、ましてやがんを患っているとは思えないほど、しゃっきりとされています。ご自身も、介護の必要性を全く感じていない。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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