思春期以降に初めて感染したときもほとんどの場合は単なる風邪程度の症状で済むのですが、まれにリンパ腫や肝炎という重症の合併症を起こすことが知られています。20代になると、90%以上の人がEBウイルスに対して抗体を持っていますので、ほとんどの人が成人するまでに一度は感染しているものと考えられます。
治療に用いる抗ウイルス薬などはなく、多くの場合は特に薬を服用することもなく自然治癒します。発熱や痛みがつらいときはアセトアミノフェンなどで和らげたり、重症の場合にはステロイド薬を使うケースもあります。
伝染性単核球症のよくある症状を見ると、細菌による急性咽頭炎と症状・所見が非常に酷似しています。以前にも当連載で取り上げたように、急性咽頭炎の治療に多く用いられる「アモキシシリン」という抗菌薬があるのですが、EBウイルスが原因の場合、誤ってアモキシシリンを投与してしまうと高い確率で皮疹を生じることが知られています。
喉が痛くて病院に行き、抗生剤をもらって飲んだら皮膚にボツボツが出た……。そんなときは、その薬はやめたほうがいいかもしれません。もう一度、受診するべきです。
感染症別 正しいクスリの使い方