Dr.中川 がんサバイバーの知恵

難治すい臓がんに光 国内7番目の重粒子線治療の施設が誕生

山形市の東日本重粒子センターの重粒子線でがん細胞を破壊するための装置(C)共同通信社

 しかし、前立腺がんはX線がベター。古くは、前立腺がんの放射線治療は、35~40回の照射が必要でした。それが定位放射線治療の登場で、5回で済むようになっています。直腸への副作用も激減していて、治療成績は手術と同等です。

 一方、重粒子線だと、照射回数は12回。治療成績も、5回照射と大差ありませんから、5回照射の方がメリットが大きいといえます。

 前立腺がんの場合、重粒子線の費用は160万円で、5回照射の定位放射線は63万円(いずれも患者負担は1~3割)。費用面でも、5回照射に分があります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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