「沈黙の臓器」腎臓の病気に在宅医療の専門医はどう対峙しているのか?

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■人工透析を選択しない場合は?

 腎臓の働きが悪くなれば「人工透析」が必要となる。しかし、透析を選べば、人生におけるそれなりの時間の制約が生まれる。その代わり、それ以外の時間における症状の改善や多少のわがままな食事が許される。透析を選ばなければ食事などの制限を強いられることになる。

「透析の導入は、患者さんが残りの人生をどう暮らすかを選択する一大事です。在宅診療では、『透析導入』により患者さんの全身状態が改善し、余命を伸ばす場合もあります。そのため定期的に採血をし、症状を見ながら透析導入を勧めることもあれば、透析せずに投薬調整により対症療法を続けることもある。選択の指標は、単に『医学的な正しさ』だけでなく、患者さんの人生の充実度の側面が大きいのです」

 医師によっては、クレアチニン、eGFRの値だけを見て、「透析適応」と言い切ってしまうが、よくよく考えた方がいいということだ。ちなみに透析を導入しない選択をした場合の生活指導は、塩分と水分の制限、貧血や高血圧などの症状が出たとき症状を緩和する服薬指導となる。

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