なりたくない病気1位「認知症」の実像 在宅看取り年間200人の名医が語る

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 認知症は、その状態を3段階に分けて考える必要があるという。最初は、「記憶障害」「見当識障害」「判断力障害」などいわゆる「中核症状」が出る段階。具体的には「覚えられない」「時間や場所がわからなくなる」「物事を計画したり実行したりすることがうまくできない」といった症状だという。

「本人や家族からすると、『以前できたことができない』のはつらいことです。ただ、それは認知症だから起こることではなく、加齢に伴い誰もが少しずつ受け入れながら生きていく『人としての衰え』の問題です。脳や血管系の疾患をベースにした脳血管性の認知症でなければ、急激な認知機能の低下はほぼなく、その症状は緩徐なものがほとんどです」

 次が「行動・心理症状」の段階。「徘徊」「夜間の不穏」「幻覚妄想」などの症状で、中核症状が進行したときに出てくる。これらは個人差があり、症状があるから「不幸せ」というわけではないという。

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