なりたくない病気1位「認知症」の実像 在宅看取り年間200人の名医が語る

写真はイメージ

「いつも幻覚妄想が見えていて、夜に窓の外から人がこちらを見ているとか、子供がベッドの周りに集まってくるなどという話は診察においてよく聞きます。家族はその言葉により不安になるのですが、本人はそれをうれしそうに話します。『子供が来てね、明日はゴミの日だってことを教えてくれるのよ』などは、『幻覚』なのですが、本人にとっては実際に見えている『真実』です。それを周囲が否定してしまうと、認知症の方が不穏になったり、人への不信感が高まってしまいます。しかし、受け入れてあげると、投薬治療などをしなくても問題が起こらないことがほとんどです」

■「治療する」ではなく「対応する」ことが大事

 認知症が問題となるのは、その「行動・心理症状」が自傷・他害行為につながったり、家族や施設での生活に影響が出るなど、「環境への影響」が表れるときだ。

3 / 5 ページ

関連記事