名医が答える病気と体の悩み

認知症の家族を施設に入所させた方がいいタイミングは?

認知症は思ったよりも早く進行する

 被介護者の状態として、「徘徊(はいかい)」は当然ながら、それ以前の段階で「転倒」が多くなったり、「トイレに1人で行けなくなった」ら、個人の介護の手を離れるようお勧めしています。排便は深夜でもコントロールできませんし、被介護者が起きてしまうと寝付くまで見守らなければなりません。トイレは何十年と毎日してきた日常行動ですから、1人でできなくなるのは「24時間の見守りが必要となる」サインになります。また、食べ物が腐っているかを判断できずに何でも口にするようになったときも“見張り”が必要な状態です。

 ただ、個人差はあるものの認知症は思ったよりも早く進行します。異変を感じてからでは入所施設が見つからないケースは多い。そのため、介護者の方には家族が認知症と診断されたら、家族会議を開くよう勧めています。公的サービスの確認や施設見学の手配、いま被介護者はどの位置にいるのか、軽症のうちにそうした状況を把握して、被介護者の将来設計をしてもらいます。介護者を守ることにもつながります。

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